No.000

 

僕が手を差し出して。

貴方がくれる物は何?

つめたいつめたい引き金。
重いと思っていた鈍色。
だが今は、何よりも軽いと感じるそれを使って、僕はそれよりも軽い命を奪う。
相手の脳を貫くちいさな弾丸。
周囲に撒き散らされるのは悪臭と血潮。
そして人間のくだらない思考が詰まった、醜い脳。

僕は、人殺しです。

「――」

罪に塗れた僕の名を呼ぶ、声。
場に合わない、不気味なほど穏やかな其れ。
僕は振り返る。


「おいで」

利き腕と逆の、右手。
其れを差し出して、彼は笑っていた。
場に合わない、不気味なほど穏やかな其れ。
罪という名の真っ赤な液体に塗れた僕の手を彼は取った。
ぬる、とした感触で、滑る。
彼は然程気にする様子もなく、僕の体を引き寄せる。


「君は、綺麗だね」

決まって言う言葉。
場に合わない、不気味なほど穏やかな其れ。
嗚呼この穢れた僕の一体、何処が。
美しいと、言うのだろうか、と。
思っても口には出さない。
黙って、僕はただ抱かれる。
それはこの人が愛しいから。
だから、どんな行為にも耐えられる。
彼が美しいというものは、美しいのだ。


「今日もお疲れ様。後はゆっくり、おやすみ」

その言葉が、鍵。
僕の体から力が抜け、崩れ落ちる。
そう、その姿は差し詰め。

糸の切れた、操り人形か。

 


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久々更新のワリにまたワケわからんもの投下スマです。
ひょっとしたら続きます、というかこのままだと本当に意味不明ですよねコレ(汗
グロな表現少々なので、お気を悪くされた方おられましたら申し訳ないです。
有難う御座いました(2005/06/13)

 

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