断罪者に望む。
このまま彼女が石に成り果ててしまうのを見るのが怖かった。
だから私は彼女に手を差し出した。
それが正しかったのか間違っていたのか。
「お前は間違えるな――」
明日、別れの時が来る。
彼女を石にしたくなかった。
それなのに最期に彼女は、見るも無残な姿へと変えられた。
その時にもう、私は全てを諦めた。
あの少年と同じように。
そしてあの少年に全てを委ねてしまった。
この選択すら、正しいのかどうかも分からない。
明日、裏切りの時が来る。
何時か何時か。
この罪深き天使を殺して欲しいと。
たった一つ遺った彼女との思い出に託す最期の望み。
「ありがとうございました、師匠」
何時か彼女を殺した罪を。
何時かお前に罰せられる日が来るのだろう。
未だ何処で何を間違ったのか、分からない。
違っていたのなら教えて欲しかった、なら私はどうすればよかったのだ?
――その日の為に私はお前に剣を教えた。
「死ぬなよ……」
私の知らない所で、決して傷つかないで欲しい。
たった一人の救世主に望む。
たった一人の断罪者に望む。
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